また会う日まで
「わぁ、懐かしい。」
「ここで写真撮ったよな。」
一歩足を踏み入れると、あの頃の思い出が一気に蘇る。
十数年が経っていて建物もずいぶん古くなっているけど、何も変わっていないことが嬉しかった。
平日の昼間ということもあってか、館内には人がまばらだった。
一つ一つの水槽を眺めながら、隣に立つ優輝に気をかける。
体は辛くないのだろうか?
さっきより、少しばかり顔色が良くなったようにも見えた。
繋いだ手の平は温かくて、同じ時間を過ごしていることが幸せだった。
この幸せが永遠に続くようにと、心の中で願っていた。