また会う日まで
「松山優輝さんで間違いありませんね?」
私を気遣いながらも、刑事さんが確認を取る。
ただ頷くことしか私は出来なかった。
「先程、松山さんのご家族の方にも連絡が取れました。
遠方ですので、着くのは夜遅くになるそうです。」
刑事さんの言葉も、耳には届かない。
放心状態で椅子に座ったまま、どれ程の時間が過ぎたのだろう。
カツカツとヒールの音が鳴り響く。
「…恵那ちゃん?」
優しい声が聞こえ、視線を上げる。
「…おばさん?」
やっと止まったはずの涙が、また流れだす。
無意識に、私はおばさんへと縋り付いた。