*写真屋の恋*
風が。
一瞬ふいた気がした。
…ないない。室内だぞ、私。
こういうところがダメだと思う。
私はとことん美しいものに弱いのだ。
カウンターにもたれながら、スラっとした美しい腕をくたりとさせ、男性が百円玉を置く。
切れ長の目が、スッとこちらに目線を送る。
「…いらっしゃいませ。」
あ、ヤバい。
今、営業スマイル忘れた。
真顔で半分口を開けながら出てきた言葉が、あまりにもマヌケでハッとしてしまった。
「…君、カメラ詳しい?」
「ふぇ?」