*写真屋の恋*
フラッシュ
男性がニコニコしながら片手で頬杖をつき、私を見る。
(???)
冷や汗をかきながら、私もニコニコ微笑み返す。
「(何、何、何なの?何この沈黙。)」
そのとき、ガシャン!と後ろの機械が鳴った。
すいませんと席を外して出てきた写真の確認をする。
2Lサイズ一枚。
『永瀬渡』の写真。
うん。上出来。
夏の空の濃い青がよく出てる。
袋に詰めて、空白欄に『柏井』とサインを書く。
プリントした者の名前をココに書くのだ。
それが出来たら今度はパソコンに戻って「仕上がりメール」を送る。
それで完了。
のはずだったけど。
「あ、メールは送らなくていいよ。」
「…へ?」
「本人がもう来てるからね、仕上がり、見せて。」
「…あの、これ『永瀬渡』さんのなんですけど…。」
「うん。あってるよ。僕が『永瀬渡』。」
永瀬渡。
永瀬渡。
僕が永瀬渡…。
えええええ!!