*写真屋の恋*
「初めは薫君からここにいた第1アシスタントともうすぐ話がつくからと連絡受けてたんだか、WATARUから猛反発食らってね。何だ、相当な美女なのか?」
「WATARUさんが一生はなしたくない女性ですよ。」
「ああ、なんだ。薫君も人が悪いね。」
まあ長い片思いだしね、と呟き、大男はさらに猿渡を拘束する腕に力を入れる。
「でも俺はこっちでよかったよ。女より男と仕事するほうが断然いい。」
「えーそれ私への嫌みに聞こえます。傷つくなぁ。」
全然傷ついてないという顔で三好が笑う。
「仕事仲間として向井は本当に使いやすかったよ。しかし、コッチは被写体にもなるし、…ベッドでも役に立つ。」
大男はその最後の言葉を猿渡の脳に直接響くように耳元で囁いた。
ビクッと甘く震える猿渡を見て、三好は静かに手を合わす。
…もう開発済みかぁ。
「(ご愁傷様…。)」
たぶん彼の密かなコレクションに、すでに猿渡のも数枚貼られているのだろう。
三好はちょっとだけ猿渡を可哀想に思う。
この会社で、一番怒らせてはならないのはやっぱりWATARUさんだなと三好は改めて確信した。
Fin
【2012.6.20】