*写真屋の恋*


彼女と言う響きがやたらこそばゆい。


仕事が珍しく早く終わって、しかもセンセイだけ会議で遅くなる。


初めて使う合い鍵。


センセイの部屋で食器を洗う音。


センセイの匂いがする空間。



今私、幸せだなぁ。



勝手にこぼれてくる微笑みを今は誰にも隠さなくていいことが嬉しかった。









2時間ぐらいたっただろうか。


思いの外早く片付けも終わって(細かい所はまだまだだけど。)


憧れていた“好きな人の家でこっそり夕食作り”まで出来てしまった。


うわー。我ながら良い匂い。

上出来!


時々我に帰って“乙女な自分”を客観的に見て、複雑な心境になるけれど、彼女に成り立てでどうしても浮かれているんだから、ちょっとは多めにみようと思った。



でも、やっぱりちょっと恥ずかしいけど。




そうこうしている内に、玄関のドアがガチャンと開いた。






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