*写真屋の恋*
私はその音が物凄く嬉しくて、思わず廊下を走る。
「お帰りなさい!!」
くー!
これも言ってみたかったの!
おめでとう遅咲きの私!
そう笑顔でセンセイの所まで来たのに、想像してた声が聞こえてこなかった。
センセイのいつもふざけたような口調で“ただいま~。ゆな君いたんだね”とか言うもんだと思ってたのに。
そこに立っていたセンセイに、いつものキラースマイルは欠片もなくて、ただ目を点にして、真っ直ぐに私を見ていた。
え、
…、
もしかして、私、やっちゃった?
やっぱり勝手に来たらダメだった?
センセイに事前に連絡するべきだった?
そんな気持ちが一瞬で私の前を駆け抜けていく。
「……。」
「…あ、…すいませんでした…あの、勝手に入って…。」