*写真屋の恋*
…なんて素敵な空間!!
勝手に足が動いてしまう。
ごちゃごちゃした部屋なのに、一つ一つの家具のデザイン性が高くて魅了される。
「僕の仕事部屋だよ。気に入った?」
後ろから軽やかな声がする。
私はクルリと勢い良く振り向き、永瀬渡さんを見上げた。
「気に入るも何も…」
スッゴく素敵です!!と、言う前に、グシャッと何かを踏んでしまった。
ヒールのかかとに絡まるソレに、悲鳴が出た。
「ギャー!!写真!!ギャー!!すみません!!」
「え?」
良く見れば。
いたるところにゴミのように転がる写真、写真、写真。
「ななな!!写真を何してはるんですか~!(泣)」
「ああ、ごめん。僕片付け苦手で。」
ケロリと言ってのけた黒尽くめの男をキッっと一睨みし、バタバタと拾い集める。
一応持ってきた手袋をはめ、拾っては整え、机へ。拾っては整え、机へ。を繰り返す。
ついでに軽く他の資料や書類も整頓し、終了。
その間、永瀬渡は扉から一歩も動かず、ニコニコしていた。そしてニコニコしながらしきりにウンウン頷いていた。
え、?なんなんだぁ??