*写真屋の恋*


「ゆな君、これ手配しといて。」


「はい!」


「ゆな君、コレも先方によろしく。」


「はい!」



「ゆな君、コーヒー」


「はい!」



「ゆな君、」





「はいぃ!!」



・・・・・




もう、お嫁に行けない…(人生に疲れて。)





でも、それでも、センセイの写真をとり扱う瞬間は、本当に幸せ。





パソコンに向かいながら、色修正をする。


んーと真剣に画面とにらめっこをしていると、肩に後ろからトスッと両手が乗っかってきた。







「…それ、もうちょっとマゼンダ引いてくれる?」





耳を熱くくすぐる風に


ドンッと心臓が暴れ出す。






わっ



わっっ



わっっ!!/////


いっ息が…っっ///





「せ、センセイ!急に現れないで下さいっ!」


そして近いですなんなら触れてますキャー


「えー別にいいじゃない。なんだかゆな君の反応も面白いし。」

ニッコリ嫌みのない笑顔で首を傾げる。


ドキッ


これぞセンセイのスマイル殺しだ。


「も、やめてくださいそういうの!///マゼンダ多めに引いとくんで、はいはい自分の仕事に戻って下さいっ。」


椅子からいったん立ち上がり、センセイの意外に広い背中をぐいぐい押す。


「えーー飽きたよーゆな君カマッテー。」とかほざく、童顔の32歳はそのまま私の手にもたれて体重をかける。



お、重い!!


「ちょ、早く机に戻って下さいってば!!」


とうとうめちゃくちゃな上司にキレて、投げ飛ばすように椅子に座らす。


細い目を更に細めて、ヒョロリと背中を丸め、小さくなりながら「ハハ、ごめんごめんつい…」とセンセイが苦笑いした。


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