*写真屋の恋*


「(コソコソ)…これはその、走ったせいであって、ね、だからそんなんじゃないの」

ああああ喋れば喋る程怪しいっ。バカバカ私ー!

「へー。そーなんですか?じゃあそうゆう事にしておきますね(ニッコリ)」

うう、不敵な笑みが怖い。

年下の新人スタイリスト君は可愛い顔してちょっと鋭い。




「ゆなくーん!ココ支えといて!」



「はい今!」



…峯村くん、違うんだよ。
センセイには奥さんか恋人かなんだか知らないけど綺麗な人がいるし、私なんか撮影してるセンセイにこんな風に呼ばれないと近づいてもいけない、そんな立場の人間なんだよ。


『どうせ捨てられるわよ。』

私はあの女の人のセリフを思い出していた。


あの言葉の意味は良くわからないけど、多分センセイがらみなんだと思うんだ。



捨てられるって何だろ?



アシスタント首って事かな?



うわ~怖~っニートになるよ私。


もしそんな事になるなら、その前にいっぱいいっぱい、センセイの技術、精神を物にしたい。出来るだけ吸い取りたい。


もう、動く前からあきらめる私じゃないんだ。


センセイが変わるチャンスをくれたんだ。





ね、センセイ。






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