*写真屋の恋*
「……………う"。」
「(じーーーっ)」
「……………っ。」
「(じーーーっ)」
「……………いえ、なにも。」
「ぇえっそこで嘘ついちゃうの?」
首が一周回る勢いで目をそらせつつ、冷や汗をタラタラ流しながら否定し続ける。
カメラを掃除するホコリ飛ばしをシャカシャカさせながら、頭の隅でもし言ったときの事を想像した。
言う→そんなことを言われて落ち込んでいる事がバレる→何故落ち込むの?→僕の事好きなの?!→そんな奴と仕事やりずら~い☆→クビ。
「クビは!!クビだけはご勘弁を!!!!」
「へ?」
涙目で今日初めて永瀬センセイの顔をちゃんと正面から見上げた。
きょとん。そんな顔したセンセイ。そこからまたいつものようにふわりと優しく笑って、君は案外馬鹿だよね。とこれまた優しく呟いた。
…ああ、やっぱりセンセイは綺麗。
ぽすっ
「ハハッ、何言われたか分からないけど、僕が君をそうそう手放す分けないだろう?」
空から大きな手のひらと柔らかい声が降ってきた。
「あんなに苦労して見つけたのに。」
優しい。
優しい…。
声が優しすぎる…。
…ヤバい泣きそうだ。