*写真屋の恋*
「…………。」
「…え?抵抗なしですか?」
さっきまで白い天井があったところに何故か今、峯村君の顔がある。
「イヤ、カタまってるのヨ。」
びっくり、して。さ。
…。
え?何この状況。
「フッ、そーなんデスか?」
え?
ええぇ?!
組み敷かれた腕にかかる重さが、私に緊急事態だと警報を鳴らす。
「だから言ってるじゃないですか。柏井さんは…、ゆなさんは不用心だって。」
逆光の中の峯村君はなめらかに、そして妖艶に微笑む。
女の子のようだと思っていた形の良い唇は、今はやたら官能的につやめいていた。
エ、エロい……
はっ!そうじゃなくて!
「いやいやいやいや?!!峯村君?!酔ってる?!」
「俺お酒強い方ですよ?」
「ハタチで既に?!」
「体質の問題かと。」
知らない顔を見せる彼はクスリと微笑む…。
だが、腕を押さえつける力は変わらない。
害のなさそうな甘いフェイスをしていても、その力がこの子は男の子なんだと今更気付かせてくれた。
「無防備なんですよ。なんの危機感もなく部屋に入って来ちゃって。」