*写真屋の恋*



「え!なんで分かったの?!そうよ『永瀬渡』!…ああ!そう言えば、ゆなちゃんいつも日曜日晩入ってるもんねぇ。…でもよく分かったわねぇ。」


不思議そうに見つめられて、慌てていやなんとなくですっ!とか答えてたけど、私の頭の中は、今妄想でいっぱいだった。


永瀬渡さん。


男の人。


長身。


挙動不審。


深い帽子。


朝一番。




…。



けっこう怪しい人なんだぁ。



写真にも人写ってなかったし、もしかしたら人嫌いなのかなー?


へー

へー


へーーっ!





もう自分の頭の中にはガリガリで小難しいそうな髭面の剛毛男性が、

眉間にシワを寄せながらデッカい一眼レフのカメラを抱えて森を歩いてる様子が悶々としている。



プロかなぁプロだといいなぁ!


まぁプロがこんなド田舎でプリントするはずは無いけれども。


想像する分には罪なんてない。


いいなぁいなぁ!


私も会いたいなぁ!


永瀬先生!



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