大好きな君へ

｢なあ、御所｣



｢ん？｣



｢きれいになったよな…｣



｢あ？｣



アキラが教室の窓から、校庭を見ながら話しかけてきた。



「ほんと、変われるもんなんだな」


｢なにが？｣



俺も窓から外を見た。


朝の登校して来る生徒たちの中に、隣のクラスの吉野紗矩の姿を見つけた。



（あ…。）

彼女はすっかり変わってしまった。



視線を外に向けたままアキラが話しかけてくる。


｢御所ってさ…お前さ、もしかしてめっちゃ視力よくね？｣



｢は？｣



｢だってさ、御所ぐらいだぜ？吉野のこと前から気にしてたの｣



｢だから？｣



｢吉野、めっちゃキレーになったよなぁ。あのぶーちゃんだったなんて考えられるか！？ムリムリムリ…やっぱ御所、お前さ、ゴッドハンドならず、ゴッドアイってやつ？眼力すげーよ？｣



窓から視線を外して、俺に向かってキラキラした目で見ながら力説してくる。



｢ぶーちゃんの頃から、吉野に目つけてたんだからな｣



｢ばーか、そんなんじゃねーよ｣



「あ～神様～俺にもそのゴッドアイ授けてくれよ…なあ、御所！それコツとかあんだろ？」


「ばか」


俺の吉野への思いは───







（そんな─…もんじゃない）