大好きな君へ


私はグラウンドの端からいつものように御所くんを見ていた。



御所くん、なんだか今日は跳び方がおかしい…



体調悪いのかな…


大丈夫かな…


そう言えば─昼休みに教室を覗いた時も、珍しく、なんか怒ってるみたいだったし……


なんかあったのかな…


さっきから御所くんは座り込んでなんだかぼんやりしている。



やっぱり体調悪いのかな…


心配──。



穴があくほど見つめていた御所くんの背中だったのに、急に御所くんが振り向いて…目があった……ような気がした?



「…まさかね」


ポツリと呟くように言った瞬間─



(な、な!?)


私にに向かって御所くんがスゴい勢いで走ってきた。


いや、正確に言えばこちらに向かってだろうけど…。


あわてて後ろを振り返ったけれど、誰もいなくて


向き直った私に見えるのは、走ってくる御所くん。



「あわわわ………」


顎がカクカクして、変な言葉が口から漏れた。




「吉野さーーんッ!」



何?私の名前呼ばれてる?



「吉野さんッ!!」



御所くんの声が私を呼んでいる──?


動揺した私の脳裏に浮かんだのは、あの単純明快なあの方程式───



(!?)


まさか

まさか…

まさか…も、もももしかして、バレた?



ストーカーの事!?




(やばい…すごーーくヤバい)



私はだんだん近付いて来る御所くんを凝視しながら、早くここから立ち去らなくっちゃ!!と思うのに体が動かないでいた。



だって、吉野さんって初めて呼ばれたんだよ?



う、嬉しいに決まってるじゃないのぉぉぉ!!



御所くんに呼ばれたんだよ?



逃げるなんて出来るわけないっっっ!!



でも、ヤバイ…



どーしょーう……。



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