大好きな君へ



正面に迫り来る御所くんを見つめた。


覚悟を決めた…


でも─────…


(ダメ!やっぱり、無理!)



思った途端、体がI80度回転した。



玉砕覚悟だけど、だけど…



逃げ出そうと足を出した瞬間だった




「待って!」


御所くんの手が私の手を掴んだ。


「吉野さん」


「…」


至近距離に感じる御所くんの気配に一瞬心臓が止まったように感じた。



今までしてきた事に対する罪悪感が自分を支配する。



同時に起こる“嫌われたくない”の思いと御所くんへの気持ち──


「吉野さん」


至近距離で耳に響く御所くんの声──



呼ばれるたびに気持ちが高ぶって、頭がパンクしそうで…






「…俺を見て」


御所くんの声が優しすぎて


近すぎる御所くんの声に心臓が破裂しそうで─


我慢できない思いが口から飛び出した────振り返って、目をぎゅっと瞑った……













「御所くん、好きです」




開いた目にうつるのは、御所くんの驚いた顔。



でも、


飛び出した気持ちはもう止まらない…




「私と付き合って…」




ストーカーの罪悪感なんか飛んでいってしまっていた。


繋がれた手から伝わるのは御所くんの手の温もりと───震え?



(御所くん…やっぱり、怒ってるんだ──)
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