大好きな君へ


(あ〜っ!御所くん!やっぱりかっこいいなぁ!)


私は、バードウオッチングの望遠鏡で鳥を見る振りをしながら、グラウンドで高跳びをする御所くんを見ていた。



「吉野」



「…おい吉野」



「吉野ッ!!」



「えっ?あっ、は、はいッ!!」



大声で呼ばれて、はっと我にかえった。


視界いっぱいに広がっていた御所くんを泣く泣く断ち切って振り返ると、部長の高瀬先輩が眉間に怒りマークを付けて私を睨んでいた。



「す、すみません…」



今はクラブ活動中。



私は野鳥クラブに在籍している。



うちの学校は“野鳥の森”という公共施設に隣接していて、他校にはない野鳥クラブなんてのがある。



なぜ私がこのクラブに入ったかというと…



バードウオッチングのスポットから御所くんのいるグラウンドが一望できる。
これが第一理由。



そして、望遠鏡で御所くんの汗の流れる素敵なお顔をアップで見れるという──


スペシャルボーナス並みの特典につられたのだ!


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