だって君が好きだから。
10
顔を上げると呆然とした
キョーちゃんの顔。
「…キョーちゃん?」
あたしが名前を呼ぶと
キョーちゃんはハッとして
我に帰っていた。
「…どうしたの?」
「…嫌っ、なんてゆうか
うん。って言ってくれるなんて
思ってもなかったから。」
「…キョーちゃんの側に
ずっといるからね。」
「…ちょっ…え、待って待って…
やべぇ、頭ついてかなねぇ。
もっかい聞いてもいいか?」
「…ふふ、いいよ。」
「俺の…
側にいてくれますか?」
「…はい!」
あたしがそう言うと
キョーちゃんは笑って
もっと強くあたしを抱きしめた。
あたし、間違ってないよね。
ちゃんと考えたんだもん。
「優梨、好きだよ。」
そう言ってあたしの
唇に優しくキスをした。
キョーちゃんの唇は
かすかに震えていて
なんだかそれが愛しく感じた。
あたしたちは
修が起きていたことなんて
ちっとも気付かなかった。