だって君が好きだから。
「…森野さん?
どうかしたの?」
なかなか教科書を
読み初めないあたしに
先生が驚いて見ていた。
「あっ、すいません。」
ヤバ、恥ずかしいよ。
みんなに泣いてるの
見られちゃう…
ガタッ
「先生、こいつ朝から
腹痛ぇって言ってたから。」
「あら、そうなの?
…大丈夫?」
はい
そう言おうとした瞬間
「保健室連れてって来ます。」
そう言ってあたしの
手を強く引っ張る。
それは紛れもなく修で
夢でも見ているのかと思った。
教室を出る一瞬
キョーちゃんと目が合った。
キョーちゃん怒るかな?
「…まっ、待って。
待ってってば、修!」
「…んでだよ。」
「…え?」
「なんで、泣くんだよ。」
「なんでもない…。」
「ウソつくな。
なんもなかったら
普通、泣くかよ。」
「…だって!だって教科書!」
「は?教科書がなんだよ
忘れたのがそんなに
悲しかったのか?」
「違う〜!!」
「じゃぁ…なんなんだよ。」
「…落書き」
「…落書き?」
「なんで消さないの?」
「…あぁ、あの落書きか。」
「…どうして?」
「どうして?
そんなの俺がまだ
お前に未練タラタラ
だからに決まってるだろ。」
「…ウソ。
こんな勝手なあたしの
どこがいいの?」
「…お前みたいな
勝手な女大っ嫌いだ。」
言葉とは裏腹に
強く抱きしめられる。