だって君が好きだから。
「どうせあたし下手だし。
優梨ちゃん上手いんだから
いいじゃない。」
「…でもっ
あたし、そんなにできないよ。」
「岸田にでも
手伝ってもらえばいいでしょ」
「…え、俺?
無理、無理。できねーもん」
「松本さんも
手伝ってくれるの?」
「どうしてあたしが?
あたし、下手だもん。」
「ちょっと!
さっきから聞いてたら
言いたい放題じゃない!
どうせ優梨が気にくわないんでしょ。
こんなくだらない嫌がらせ
中学生でもしないよ!」
真樹があたしの目の前に
立って庇ってくれる。
「だったら、何?
真樹ちゃんも手伝って
あげればいい話しじゃない。」
「はぁ〜!?
呆れた、話しになんない
あたし委員長呼んでくる。
言いたいことは全部
委員長に言ってくれない?」
真樹はそう言って
教室を出て行った。
「優梨ちゃんって本当ムカつく。
1人じゃなんにもできない
でも周りが何も言わないのに
助けてくれて。
本当、恵まれてるよね」
「そんなこと…」
「ないって?
十分あってるでしょ?
現に今だって真樹ちゃんに
助けてもらってるじゃん」
「……」
「だいたい優梨ちゃんさ!」
「おい、もぅいいだろ。
優梨がお前に何でそこまで
言われなくちゃなんねーの?」
「…神崎くん。」
松本さんは
さっきまでいなかった
修を見て驚いていた。
「優梨、気にすんなよ。」
そう言ってあたしの
頭を撫で撫でしてくれる。
「…修。」
「岸田も!
お前が変なこと言うから
悪いんだぞ?わかってんのか?」
「え、俺?」
「完全にお前が悪い。
女子にあやまっとけよ」
「おぉ、わかった。」
あたしは涙をこらえるのに
必死だった。そんなあたしに
気づいてくれたのか
修はあたしの手を引いて
廊下に出た。