Bishop革命
「言われなくても、そうするつもりです」
冷聖院、と呼ばれたその学生は、冷めたようにそう言って、二湖の脇を通り過ぎた。
それからもう一度、振り返り、二湖ではなく諒介に向けて言った。
「…ここに来たからには、どちらに入るか、さっさと決めてもらわなければ困りますよ」
「ああ、分かった分かった。俺から話しておく」
諒介が軽い調子でそう答えると、男子学生は興味を無くしたように校舎の方へと消えて行った。
「なーに、あれ?何か知らないけど感じ悪い」
その姿が見えなくなってから、二湖はポツリと呟いた。
「おじさん、何なの?あの人が言ってた『キング』とか『ナイト』って?」
まだ憮然としたまま、二湖は諒介に尋ねる。
「ああ、あれは…。ま、とりあえず挨拶が先だ。それが終わったら話してやるよ。この学園のしくみをな」
諒介はそう言って、思わせ振りに笑った。
その諒介の表情には見覚えがある。
何か悪戯をするときの、いたずらっ子のような笑顔。
二湖は、ふと身の危険を感じて数歩後退りした。