Bishop革命
「ねぇ、それって私もどちらかに入らなきゃいけないってこと?」
「そういうことになるな」
諒介はそう答えて、空になったコーヒーカップを持ち上げた。
それと同時にチャイムの音が鳴り響く。
テープではなく、本物の時計塔の鐘の音だ。
「もう下校時間だな。二湖、お前先に帰ってろ。俺はまだ仕事がある」
「えー!だってまだ道順うろ覚えだよ!?」
とりあえず諒介のマンションに居候することになった二湖だったが、日本の地理にはまだ疎い。
仕方がないので諒介の仕事が終わるまで待つことにしようかと悩んでいると、突然医務室のドアが勢いよく開かれた。
「先生、体育で膝擦りむいた!絆創膏ちょうだい!!」
飛び込んで来たのは、ジャージ姿の男子生徒。
背はあまり高くないようだが、痩せていて、茶色に染めた髪をワックスでツンツンに立たせている。
八重歯が特徴的な、なかなか愛嬌のある青年だった。
「相楽、またお前か。そこの棚にあるから勝手に取ってけ」
「サンキュー!」