Bishop革命
男子生徒はズカズカと医務室の中に入り、中程まできてピタリと足を止めた。
どうやらようやく二湖がいることに気が付いたらしい。
二湖の顔をはたと見つめ、その内にみるみる顔色が悪くなる。
「もしかして、…二湖?」
口に手を当て、ぽつりとそう漏らす。
名前を呼ばれたことに驚いて、二湖も改めてその男子生徒の顔を見た。
「相楽って、…もしかして相楽虎太郎?あんた、あのコタ!?」
「…なんでお前がここにいんの!?」
「あれ?お前ら知り合い?」
お互いに目を丸くして固まる2人に諒介が言った。
若干立ち直りが早かった二湖がそれに答える。
「幼なじみだよ、幼なじみ!ほら、私、小3まで日本にいたでしょう?その頃の同級生。まさかコタもこの学校だったなんて!」
キラキラと瞳を輝かせる二湖とは対照的に、コタこと相楽虎太郎【さがらこたろう】はひきつった笑みを浮かべている。
「何が幼なじみですか!あの頃俺のことパシリにしてたくせに。あー、嫌だ。疫病神が来た。お前さんといると俺は尻拭いばっかでろくなことがない!」