Bishop革命



「職員室なら玄関入って突き当たり」


「あ、そう。サンキュー。じゃあ、私、先に行く」


「ああ、行け行け」


「…何?」


「いえ。行ってらっしゃいませ」



すっかり縮こまった虎太郎を横目で眺めて、二湖は先に進んだ。


人の流れに合わせて玄関をくぐり、靴を履き替える。


「日本って面倒。いちいち中履きに履き替えなきゃいけないなんて」


アメリカでは家でも土足が基本なので、未だにこれにはちょっと慣れない。

昨日も土足でマンションに入ろうとして、諒介に怒られたばかりだ。



虎太郎の言う通りに真っ直ぐに進むと、職員室の扉が見えた。


ノックをして、名前を名乗ると、担任の先生が顔を見せる。


中年の男の先生で、可もなく不可もなくといった感じ。

何だか少し神経質そうで、仮に悩みができたとしても、この人には相談しないだろうなと思った。


その先生に連れられて、クラスの前まで来ると、さすがの二湖も少しだけ緊張した。


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