愛、シテあげる。*完*







「ぎゃあああー!真央ちゃーん!(壊)」







バッシャーン










「もぉママ!あ・れ・ほ・どっ!浮き輪から離れるなって言ったでしょ!?」






ママの細い体を支えながら叱る。



「だって、だってね真央ちゃん……」


「言い訳はなし!泳ぎたかったらちゃんと浮き輪に掴まってて!」



「分かったわ……グスン」





これだ。忘れてたの。
ママ、

カナヅチだったよねぇ。


はぁ……。
よく水に入る勇気が出たものだ。



サンサンと輝く太陽。でもそれほど暑くない、快適な温度……う~ん、快適というか、ちょっと寒いかな。


無理矢理ビキニ着せられて入ったというのに。なんか残念。


まずさ、寒い。

うん。
やっぱ湖は見てるだけで良かったな~。

ママはカナヅチだし。



それに……






「蓮君蓮君」

「何ですか」


水は湖の底まで見えるくらい透き通っていて。とても綺麗。

見るからに神聖な感じがするし。芸術的感覚が全く分からない私でも、綺麗だなあって素直に感動できる。


素晴らしい場所だよここは。
ねぇ?

「……だからさ





いくら水が透き通ってて綺麗だからって









人の体ジロジロ見るなあああッ!!///」








ちょっと誰か、警察……いやライフセーバーさんでもいいから呼んできて。
え?いない?マジかよ…。まぁ普通そうか。こんなとこにいるわけないよね。

あ、じゃあそこのアナタ!聞いてください。この人さっきから、水越しに私の水着姿を目に焼き付けてんですよ。数メートル離れてるところが逆にムカツクし。
何だお前。マジで変態だろ。白状しちゃえよ。変態でしょ?変態なんでしょ?










「……変態じゃないです」



「出たエスパー!Σ」




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