愛、シテあげる。*完*
「変態……いや、もはやヒトじゃないでしょ。私には分かるよ!」



「ヒトですけど。真央さんの美しい姿に"うっかり"見とれていただけですよ」




「うっかり、ね」


わざとらしっ。



「じゃあもう見ないd「真央さんの健康的な肌色に、ストライプの模様が映えますね」





聞け。人の話を聞け。



「褒めたって駄目。見んな変態」


「いくら見ても減らないからいいじゃないですか」



うわぁ。オヤジだ。オヤジがいる;

「私の中の何かが減るんです~。だからあっち行け!」


パチャパチャ、と水飛沫を上げて追い払う。
しっしっ。
変態が移るでしょーが。



「そういえば、真央さんは泳げるんですか?」


数メートル先。鎖骨の下辺りまでしか見えない男が、無表情のまま私に聞いた。


「い、一応」


立ち泳ぎと、顔をつけない平泳ぎはできる。
これって『泳げる』に入るのかな?
ま、ママより泳げるからいいか。



「そういう蓮は?カナヅチだったりして~」


「僕を誰だと思ってるんですか(ニッコリ」


あ、出た魔王スマイル。
見える。私には見えるよ魔王。君の本音が。

(あぁ?泳げるかだぁ?魔王ナメてんのかこの女。どーせろくでもない泳ぎしかできないんだろ。フッ。それに比べて俺なんか、将来オリンピックに出れちゃうくらい、 はやい・やすい・うまい なんだぜ)
※真央の勝手な想像です(念のため)


スゲーな魔王。さすが。
あれ?なんか間違えなかった?……ま、いっか。



「蓮凄いね」


「……変に想像を膨らませないでもらえません?オリンピックは無理です」




「……」








……もうツッコむの疲れたよ。
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