愛、シテあげる。*完*
「うわあっ!」





グイッと足を引っ張られて……
ってか、泳いでる人の足掴むとか有り得ないから!危ないでしょ!
鼻に水入っちゃ…………あぶっ……ぎゃぃっ…………

痛い!
入った入った!鼻から水入った!




ブクブク…と沈んでいく私にくっついてくる蓮。何だよ、来るな来るな!今鼻痛いから!
ギュゥッッと瞑った目を、勇気を出してうっすらと開けてみる。
うっ……やっぱムリ。目が痛い。
目を閉じようとしたら、頬に蓮の指が触れたもんだから……

バッチリ開けちゃったじゃないか。




頬を撫でる蓮の指にドキドキして、目を何度もパチクリさせる。
あ~、あんまり痛くなくなってきたかも。痛いというのは結構すぐに慣れるものなんだねぇ。



なんて。呑気に思ってたら、蓮がどんどん近づいてきて。
水の中で髪が上に上がっちゃってても、相変わらず格好いいよ蓮は。てかむしろ男っぽく感じる。
蓮の透き通った肌の白さが、太陽の光でさらに綺麗になってる。ホント、綺麗。綺麗としか言えないくらい。


唇に柔らかいものが触れて、キスされたんだと分かった。
ふむ。水の中だとまた違う感触。
はむはむ、と動く唇に愛しさを感じる。
目をゆっくりと閉じて、柔らかくて温かいものが唇を包む感触をじっくりと味わった。
なんだか、とても気持ち良い。どうしてかわからないけど……あ、水の中だからかな?


『逃がさない』って言われて、浮かれてるのかもしれない。

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