愛、シテあげる。*完*
「そして、真央さん」



「ん?」








「あなたのお父さん……圭介さんは、

























もうお亡くなりになられていますよ」









「……え?」









いつ?













どうでもいい父親のはずなのに、脳がカチンと固まって……。





「あなたが3歳の時です」










「う、嘘!だってママは……」




私が小5の時に、



――お父さんは結婚したのよ――







そう言った。言ってたよ?









「小百合さんは、あなたに隠していたんです」






微かに眉をひそめる蓮を、戸惑いの目で見る。



何で。








鼻がツンとする。











ねぇ蓮……。



何で。










「何で、知ってるの」








「……」











蓮の顔が、少し強ばる。









「何で、教えてくれなかったの」








ママも、蓮も……。
何で、話してくれなかったの。






視界が徐々に潤み出す。
ぼやけた視界の中で、蓮の顔が歪んでいくのが分かった。









「それは……」











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