愛、シテあげる。*完*
●●蓮side●●
ねぇ真央さん。
まだ気がつきませんか。
潤んだ瞳が、僕を必死に見つめてくる。
そんな目で見ないでください。
言いたくなくなりますから。
言わなければならないのに、伝えなければならないのに。
あなたに対する愛おしさが、いつも邪魔をする。
「真央さん」
片腕を体から離して、ゆっくりと彼女の滑らかな肌に指を這わす。
ピクリと跳ねるその反応すら愛おしい。
「まだ、気がつきませんか?」
気がつかなくていい。
何も知らなくていい。
僕を、海城蓮として見ていてほしい。
でもそれは……
叶わない願いなんだ。
「真央……」
これを告げれば
もう二度と
僕は彼女に
好きと
愛してるを
伝えることは
許されない。