愛、シテあげる。*完*





●●蓮side●●












ねぇ真央さん。

まだ気がつきませんか。





潤んだ瞳が、僕を必死に見つめてくる。


そんな目で見ないでください。
言いたくなくなりますから。
言わなければならないのに、伝えなければならないのに。
あなたに対する愛おしさが、いつも邪魔をする。



「真央さん」






片腕を体から離して、ゆっくりと彼女の滑らかな肌に指を這わす。
ピクリと跳ねるその反応すら愛おしい。



「まだ、気がつきませんか?」








気がつかなくていい。
何も知らなくていい。
僕を、海城蓮として見ていてほしい。




でもそれは……




叶わない願いなんだ。













「真央……」

















これを告げれば










もう二度と












僕は彼女に
























好きと





愛してるを














伝えることは











許されない。








< 116 / 212 >

この作品をシェア

pagetop