愛、シテあげる。*完*
ごめん。
ごめんなさい。
僕が君の幸せを奪ったんです。
僕がお腹にできたから、君のお父さんは僕の母親と結婚したんです。
それなのに僕は
君から父親を奪っておきながら
君が好きで
好きすぎて
『僕だけを見て』って
勝手に好意を押し付けてたんです。
君の
兄でありながら……。
目の前にある瞳から、大粒の涙がこぼれ落ちる。
ああ違う。
そんな顔させたくなんかない。僕は君の笑った顔が好きなのに。
怒ったり、
可愛らしく僕を睨んだり、
照れて頬を真っ赤に染めたり……。
明るい君でいて欲しかった。
でも、
ごめんね。
泣かせているのは僕だよね。
勝手なことばかりで、ごめん。
僕がいなければ……
君をこんな風に傷付けることも
君が苦労することも無かったのに。
でも、ごめん……。
君の事が
真央のことが
好きで、
愛おしくて、
たまらないんだ。
身の程知らずで
本当に、ごめんなさい。