愛、シテあげる。*完*
「ッ…ふ、ぇ」
ガタガタと震える肩。
耳に触れる吐息。
嫌。
怖い……。
私に、
触れないで。
男の手で
声で
私に、近づかないで。
「大丈夫。怖がらないでください」
そんなの、無理。
大丈夫なんて、嘘だよ。
信じられない。
「僕があなたを治します」
治す、なんて。
そんなの、できるわけないじゃん…。
だって私は、こんなにも蓮君が怖いんだよ?
足がすくんで、ガクンッと膝が落ちる。
そんな私を支えるように、蓮君が腰を引き寄せた。
うっ、わ。
背中を冷や汗がゆっくりと伝う。
「大丈夫です。僕は只の人間ですから」
ポンポン、と背中を撫でる手は優しく感じられた。
背中を撫でられるなんて久しぶりで、
懐かしい温もりに
ほんのちょびっとだけ安心して
一瞬、警戒心が薄れた。
「ビームを出すわけでも、武器を持ってるわけでもないですよ?」
……なにそれ。
蓮君に分からないくらいに小さく笑った。