愛、シテあげる。*完*
私が話している間、紫は口を挟まずに静かに、頷きながら聞いてくれた。
話している途中から、段々心が落ち着いていくのが分かった。
―――しばらくの間続いた沈黙。
口を開いたのは紫だった。
「……わね」
「え?」
よく聞こえなくて、紫の顔を覗き込む。
あ、
「紫……?」
そこには、いっぱい涙をためた瞳があった。
驚いて固まっていると、ゆっくり紫の手が動いて、
私の頭を、何度も、何度も、撫でてくれた。
「よく……頑張ったわね」
頬を涙で濡らす紫の顔は、綺麗で。
そして、優しかった。
「よく、我慢したわ。本当に、頑張ったわね。耐えたわね……」
ホロホロと落ちていく涙に、私の涙腺も影響されて
気づいたら、泣いていた。
「辛かったでしょう。ずっと、悲しかったでしょう」
「……うん」
「もう、我慢しなくていいのよ」
「……ん」
「もっといっぱい泣いても、いいのよ。私に、全部吐き出していいのよ」
「……ん、っ」
ヨシヨシする紫の手が心地よくて
身体中が、震えた。
紫の温もりが
優しさが
嬉しいんだ。
嬉しすぎて、震えた。