愛、シテあげる。*完*
「ッ……!!」
ガバリと起き上がれば、そこは自分のベッドの上。
史上最悪な夢を見た。
未だに震えている体。
ポタリと頬を伝う涙。
夢。
本当に、夢?
バッと時計を見ると、おそらくまだ飛行機は飛び立っていない時刻。
急いでベッドから降りて
無我夢中で支度をする。
夢が
もしも夢が、夢じゃなくなったら……。
嫌。
嫌だよ。
止めなきゃ。
蓮を、飛行機に乗らせちゃ駄目だ。
適当に服を着て、適当に靴を履いて
慌てて家を飛び出した。
嫌だ。
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!
蓮が、死ぬなんて
絶対嫌だよ!!
涙目になりながら、必死に走って
空港を目指した。
遠くに行ってもいいから
二度と会えなくてもいいから
お願い。
生きていて……。