愛、シテあげる。*完*
歩いていくうちに
次第と見えてくる飛行機。
僕はこれに乗って、見知らぬ土地へとひとっとびするわけですね。
ふ、と微笑する。
呆気ない。
この機体に乗れば僕は、
吉岡真央という一人の女性から
永遠に離れてしまうんですから。
呆気ない。
呆気なすぎて、笑う。
やはり世界は不公平だ。
どんなに好きでいても
離れなくては、相手を幸せになんてできない。
兄妹という、血の繋がりがあるだけで……。
ガラガラとスーツケースの音が少しうるさいけれど
日本の匂いを
雰囲気を
景色を
音を
全て、全身に刻み付けた。
微かに森の匂いがする空気。
馴染みある雰囲気
美しい景色……。
遠くに聞こえるアナウンス。
サラリーマンの声。
でも、一番刻み付けたかったのは―――
あなたなのに。
真央さんの欠片もない場所で
僕は、あなたから旅立ちます。
せめてもう一度だけ
あなたの声が、聞きたかった。
突き放したのは僕なのに
あなたの、
"行ってらっしゃい"を
貰いたかった。
つくづく僕は、自分勝手な男だ……。
自嘲しながら、飛行機に取り付けてある階段を上り始めた。
次第と見えてくる飛行機。
僕はこれに乗って、見知らぬ土地へとひとっとびするわけですね。
ふ、と微笑する。
呆気ない。
この機体に乗れば僕は、
吉岡真央という一人の女性から
永遠に離れてしまうんですから。
呆気ない。
呆気なすぎて、笑う。
やはり世界は不公平だ。
どんなに好きでいても
離れなくては、相手を幸せになんてできない。
兄妹という、血の繋がりがあるだけで……。
ガラガラとスーツケースの音が少しうるさいけれど
日本の匂いを
雰囲気を
景色を
音を
全て、全身に刻み付けた。
微かに森の匂いがする空気。
馴染みある雰囲気
美しい景色……。
遠くに聞こえるアナウンス。
サラリーマンの声。
でも、一番刻み付けたかったのは―――
あなたなのに。
真央さんの欠片もない場所で
僕は、あなたから旅立ちます。
せめてもう一度だけ
あなたの声が、聞きたかった。
突き放したのは僕なのに
あなたの、
"行ってらっしゃい"を
貰いたかった。
つくづく僕は、自分勝手な男だ……。
自嘲しながら、飛行機に取り付けてある階段を上り始めた。