愛、シテあげる。*完*
「肋骨が肺に刺さり、呼吸するのもままならない……意識不明の重体です」
意識不明?
重体?
何を、言ってるんですか?
「色々な箇所が骨折しています。そのせいで、骨が血管や内蔵を圧迫・貫通しているので、手術はかなり難しいものと思われます」
「でも手術は、成功するわよね!?」
「残念ながら……成功率は10%にも満たないでしょう」
「そ、んな……」
「これが精一杯の治療です。……覚悟は、しておいてください」
奥歯を噛み締めながらそう言うと、医師は静かに去っていった。
――覚悟は、しておいてください。
――成功率は10%にも満たない
嘘でしょう?
これは、嘘でしょう?
あまりの展開に、さっきから頭がついてこない。
嘘でしょう。
「嘘、でしょう?」
ポツリと呟けば、紫さんが、ギロリと睨んだ。
「嘘、ですよね?」
「……嘘なんかじゃないわ」
混乱して動けない僕を置いて、椅子に座る。
「これは、嘘じゃないのよ?本当の出来事なのよ?現実なのよ!?」
泣きながらそう話す紫さんを、見る。
「いい加減、受け止めなさいよ。これは事実なの!真央は……真央は、今…生死をさまよってるのよ!?」
そんなこと
信じられない。
信じたくない。
真央さんが、
今にも消えそうだなんて
やめて、ください。