愛、シテあげる。*完*
「真央ね、夢を見たんだって」




「夢、ですか」




思いがけない発言に、しばしキョトンとする。









「そう。……あんたが、事故に遭う夢」



「え…?」




「飛行機が墜落する夢を見たらしいわ。真央は、あんたを止めるために、空港まで走って向かっていたのよ」






そんな。





真央さんが……?









真央さんが走る姿を想像して、胸が詰まる。


僕を、心配して……。









真央さん……。











「私はちょうどその頃、真央に電話したのよ。海城蓮のお見送りに行きなさいよって、言おうとしたわ」







ふと、床に視線を落とす。










「真央が空港に向かってるって聞いて、私も家を飛び出したわ。それで、待ち合わせをして真央と一緒に行こうとしたの」






――でも、何分たっても真央は、来なくて……









「電話をしても繋がらないから、真央のいそうな場所をしらみ潰しに走って探したわ。……そしたら、そしたら、真央が、






















道路に、血、いっぱいで……ッ、倒れてて……!」





先程運ばれてきた真央さんを見れば、どんなに酷い事故だったか容易く想像できた。



悲しい、悔しい、辛い、苦しい……。


「……ッ」



言葉にならない。






大きな瞳に涙をいっぱいためている紫さんに、更に胸が締め付けられた。




僕も、同じような顔をしているのだろうか。


泣きたくても、思い切り泣けない。

想いが詰まりに詰まって、涙が止まってしまう。


真央さん…真央さん……。




重い扉を見つめる。









真央さん。













真央さん……。


















僕は…………


























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