愛、シテあげる。*完*
「蓮くん、ちょっと検査したいんだけど……いいかな?」



「……」



またイヤイヤと首を振る。


「……離したく、ない」


「蓮…」



キュ、と胸が締め付けられる。
私だって、もっともっと、蓮に触れていたい。

でも今は……。




「ねぇ蓮。私なら大丈夫」


「……」


「いなくなったりしないよ」


「……ん」


「検査が終わったら、もっといっぱい、一緒にいよう?」


「……ん」



コク、と頷いた蓮は、ゆっくりと私から離れる。

目が赤い。うさぎみたいだ。


心なしかやつれていて、ろくに寝ていないことが見てとれた。

見渡すと、ママも昌彦さんも紫も、皆目が赤い。




心配かけちゃったな。

でも、嬉しかった。


鼻の奥がツンとする。



「じゃあ、検査しましょうか」
















***********


















検査が終わって病室に戻ると、蓮がベッドの脇の椅子に座っていた。ベッドに突っ伏しているところを見ると、寝ているらしい。







そっと近づき、ベッドに腰掛けて寝顔を覗く。


目の下にクマができてる……。




ズキンと胸が痛んだ。




「ごめんね……」







サラサラの髪を優しく撫でると、蓮がゆっくり目を開けた。




「真央、さん」


「あ、起こしちゃった?ごめ……?」




また視界が覆われる。

今度は私も、蓮を抱き締め返した。


奇跡的にも、検査で異常は見つからなかった。


骨折してたとこは、寝てる間にほとんど完治したらしいし……。

本当に、奇跡だと思う。

健康な体で、好きな人を抱き締められる。


その幸せに、心がほわりと温かくなった。





「真央さん、ごめんなさい」



ギュウッと抱き締めたまま、蓮はうわ言のように何度も何度も謝る。



「ごめんなさい。ごめんなさい……」




「蓮……」




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