愛、シテあげる。*完*
ねぇ蓮。





私達がこうして、また同じ時間を過ごせているのは、とても幸せなことだよね。






だって、もし私があの夢の中で蓮の声に気付かなかったら





私、ここにいなかったよ。





こんな風に、息もしてなかったし、蓮に伝えたいことも伝えられないでいたんだよ。





だから、生きてて本当に良かった。












「夢の中でね、蓮の声が何度も聞こえたの」



「え?」



「真央さんって、ずっと呼び続けてた」



「届いて、いたんですね」



「うん」




隣に座る君は、ゆっくりと私の肩に腕を回した。

あったかい。







あったかいな……。







夢の中みたいに、冷たい水じゃなくて





愛しい、ぬくもりだ。














ふと。







蓮が私の手を握る。






絡めた指に、体温が伝わる。











「蓮?」









いつになく真剣な蓮の目に、どうしていいか分からなくて固まった。






「真央さん」









す、顔が近づいて、耳元に吐息が触れる。







一気に蓮の香りに包まれて、頭がポワンとする。












耳元で、蓮の唇が言葉を紡いだ。

















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