愛、シテあげる。*完*
あれから、数年後。
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「可愛いわ真央ちゃんっ!!」
「……ありがと」
白いウェディングドレスに身を包んだ私の周りを、楽しそうにグルグル歩く母。
「ママ、少し落ち着いて」
「落ち着いてなんかいられないわっ!……あ!じっとしてて!」
ちまちまと私の髪飾りを直すママに、何回目だよと溜め息を漏らした。
ようやくママから解放され、教会の外に出た。
ザザァ……と波の音が心地よい。
今私は、アメリカにいるんだなあなんて
まだ実感が湧かなかった。
蓮にプロポーズされた後、
蓮は3年後、必ず迎えに行きますと言ってアメリカに渡った。
もともと会社を継ぐために必要な渡米だったから、寂しかったけど応援しようと思ったんだ。
3年間、不安が無かったなんて言えないけど
本音で蓮と話せるようになったと思う。
それに、ちゃんと迎えに来てくれたしね。
最終的に、
蓮はアメリカでビジネスを続け、
私も高校を卒業したってことで、アメリカに行くことにしたわけで
つまり、蓮と私は、アメリカで生活するんだ。
誰も、蓮と私を知らない場所で
私達は、スタートする。
風が頬を撫で、目を瞑る。
未だに蓮のプロポーズのときの声が記憶に残っていて
思い出す度、頬が緩む。
……カラーン
……コローン
鐘の音に、ゆっくり目を開ける。
深く息を吸って、ふぅと吐き出して
私は、教会に戻った。