愛、シテあげる。*完*











あれから、数年後。







*********














「可愛いわ真央ちゃんっ!!」






「……ありがと」










白いウェディングドレスに身を包んだ私の周りを、楽しそうにグルグル歩く母。






「ママ、少し落ち着いて」





「落ち着いてなんかいられないわっ!……あ!じっとしてて!」





ちまちまと私の髪飾りを直すママに、何回目だよと溜め息を漏らした。



































ようやくママから解放され、教会の外に出た。






ザザァ……と波の音が心地よい。













今私は、アメリカにいるんだなあなんて



まだ実感が湧かなかった。















蓮にプロポーズされた後、









蓮は3年後、必ず迎えに行きますと言ってアメリカに渡った。


もともと会社を継ぐために必要な渡米だったから、寂しかったけど応援しようと思ったんだ。






3年間、不安が無かったなんて言えないけど



本音で蓮と話せるようになったと思う。









それに、ちゃんと迎えに来てくれたしね。










最終的に、



蓮はアメリカでビジネスを続け、


私も高校を卒業したってことで、アメリカに行くことにしたわけで





つまり、蓮と私は、アメリカで生活するんだ。







誰も、蓮と私を知らない場所で




私達は、スタートする。














風が頬を撫で、目を瞑る。









未だに蓮のプロポーズのときの声が記憶に残っていて



思い出す度、頬が緩む。











……カラーン


……コローン








鐘の音に、ゆっくり目を開ける。







深く息を吸って、ふぅと吐き出して







私は、教会に戻った。







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