愛、シテあげる。*完*
「真央ちゃん、綺麗だよ」





昌彦さんが微笑みながら言う。





「へへ、ありがとう」





昌彦さんとも仲が深まって、前とは色々変わった。




一つ



「パパ、」





パパと呼べるようになったこと。







二つ




「短い間だったけど、今までありがとう」







敬語を使わなくなったこと。








三つ





スキンシップができるようになったこと。




「これからもよろしくお願いします!」






ギュッと昌彦さん……パパに、抱きついた。






不思議。




血が繋がっているわけでもないし



幼い頃からずっと一緒にいるわけでもないのに








あったかい涙が、頬を伝った。











「こちらこそ、これからもずっとよろしくね……」







パパも、優しく、だけど力強く抱き締めてくれた。



















また鐘が鳴って、私はパパと腕を組んだ。







「行こうか」



「うん」








ニッコリ笑えば、バタンと目の前の扉が開いた。



「……せーの」



パパと小さな声で合図し合って

真っ白な光に包まれた、赤いバージン・ロードを、しっかりと踏みしめた。






歩いていく途中、色々な人の笑顔が迎えてくれて、私も笑った。




紫、泣いてるなあとか




梶谷くんも来てくれたんだなあとか




そんなこと思っていた。









大切な人達が支えてくれた


この光の道の向こうに、







君が、立っているんだね。








目が熱くなってくる。








蓮のタキシード姿、絶対格好いいからじっくり見たいけど



ごめん、できないかもしれない。






だって、きっと私は



蓮の顔見たら、泣いてしまうから。




嬉しくて、幸せで、泣いちゃうから。








ねぇ、蓮。




君は今、どんな顔してる?




やっぱり無表情かな。




それとも、泣いてる?







< 211 / 212 >

この作品をシェア

pagetop