愛、シテあげる。*完*
「あら真央ちゃん!着替えないの?」





おしゃれしてリビングに戻ってきたママは、私の全身をくまなく見る。


ちなみに私の格好は、長袖1枚にジーパン。




「駄目?」





「う~ん……まぁ、真央ちゃん可愛いから大丈夫よ!」




それは無いと切実に思う。







はぁ…ピーンポーン


私が溜め息をつくのと、インターフォンが鳴るのは同時だった。





「は~い!」





パタパタと走っていくママ。






私はアイロンを掛けたシャツをハンガーに掛けていた。








会いたくないなぁ。










「お邪魔します」



程なくして、男の人の声が聞こえた。



あぁ……やだなぁ。




憂鬱さはどんどん増してく。黒い絵の具を飲んだみたいだ。







「お邪魔します」








あれ?





今、さっきとは違う人の声がしなかった?








不思議に思っていると、ママがバタバタとリビングに入ってきた。






続いて男の人。





へぇ……なんか仏様みたいな顔してるなぁ。




あまり恐怖を感じない自分に気づいて、驚いた。



この人は本当にいい人なのかもしれない。


一目見ただけで、なんとなくそう思った。





だからってすぐ信じるわけではないけど。






「真央ちゃん、この人が彼氏よ!海城昌彦さん!それから……」





一定の距離を保ちながら会釈する。






ん?あれ、今、「それから」って……
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