愛、シテあげる。*完*
ペタ、と顔の横に蓮が手をつく。
逃 げ ら れ な い。
脳内に赤信号が点滅し始める。
だけど
フワリと
蓮の甘い匂いが鼻をかすめて
危険信号が、恐怖が、少し和らいでしまう。
どうしよう。
胸がバクバクしてるよ…。
これは恐怖、だよね?
それとも……。
「少し…無防備過ぎですよ?」
耳をかすめる吐息に、
甘いテノールの声に、
胸の奥が
むずむずする。
「そ…ッなの、知らない!」