愛、シテあげる。*完*
先程までのコメディチックな空気はどこへやら。





今はまさに、







そう、まさに












魔王城と同じ空気!








「いけませんね」







「ひっ」








顔面に喰らわせたはずのパンチは、蓮の綺麗な手に掴まれていた。


ぷしゅ~と煙が立っている。




漫画か!










「真央さんに殴られるなんて最高の極みですけど」



「げ」




「何ですか」





「気持ちわ……いや、変態」





「何とでも言ってください」








クイッと手首を引かれて、蓮の胸におさまる。



う、わ



蓮の体、あったかい…。


服越しに感じる放熱。


固い胸板。




脇の下から回された腕。







や、ば。




また、ドキドキしちゃうよ……。









「真央さんに触れるなら、何と言われても平気ですよ」




「う……///」






固まって動けないでいる私の首に、蓮が犬のように顔をすり付けてくる。




「ん。いい匂い…」





「っ…/////」





サラサラした髪が耳や首筋を刺激する。

短い吐息が漏れた。






「……真央さん?」




「な、動かなッ…」



蓮が少し動く度に、声が出そうになる。


くすぐったい。






「ふふ。感じてるの?」




「ちが…///」





蓮はそっと、耳に唇を寄せた。



耳たぶを優しくはむはむと噛む。



蓮の固い歯と、柔らかい唇。



Tシャツから覗く綺麗な鎖骨。




何この色気。





頭おかしくなりそう。





「っ……んッ////」



思わず出てしまった声にびっくりして、手で口を覆った。



人が必死に堪えてるっていうのにこの男はっ……!///







「蓮、も……ぃや」




ドキドキし過ぎて苦しい胸。





霞んでいく視界の中、蓮と目があった。








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