愛、シテあげる。*完*
やってきました。
ついにこの日が。
「真央ちゃん!お手洗いは大丈夫?」
「大丈夫…」
「あ、酔い止めのお薬飲んだ?」
「うん…」
心配そうに声をかけてくれるママと、沈んでる私。
目の前には…
ジャンボジェット機(海城家専用)。
まさかここまでとは。
あぁ乗りたくない!
「小百合さん、真央ちゃん、こっちだよ」
小百合とはママのこと。
ママをそんな風に呼ぶのは…
昌彦さんしかいない。
声がしたほうを見ると、ガラガラとスーツケースを付き人的な人に持たせた昌彦さんが歩いてくる。
あのぉ、その後ろの人は誰ですか?
まさか召し使いとか、執事とかいわないよね?
「さぁ、行こうか。あ、彼女達の荷物も運んでくれるかい?」
「かしこまりました」
黒いスーツを着た男は、ママと私のスーツケースを…(いつの間に呼んでたんだ?)他の黒いスーツの男2人に託した。
「ありがとうございます♪……あら?蓮君はどこ?」
そういえば。
キョロキョロと辺りを見渡しても、いない。
トイレかなぁ。
探しにいこうとするママを止める。
「私が行くよ。ママは昌彦さんと先に乗ってて」
「真央ちゃん……ありがとう」
大人の2人の時間も作らないとね。
ニコリと微笑んでから、空港内(海城家専用)に入る。
個人の空港だから、一般に比べればあまり広くない。
すぐ見つかるよね。
とりあえず、トイレを見に行くことにした。