愛、シテあげる。*完*
ギャッ!!




「どうも(ニッコリ」





魔王近いッ!近いッ!///
ドアップは止めて!///


ドキドキと、蓮の黒い笑みに体が固まった。


そんな私の腰に手を回し、Tシャツの裾をパタパタしていた右手は、蓮の大きな手に包まれていて…。


トクン、トクンと、自分の速い鼓動が聞こえる。



「れ、蓮ッ…近い!」


蓮の吐息が唇にかかる。間近にとてつもなく綺麗な顔。


そして、改めて感じる。
蓮は『男』であることを。


意識しちゃいけないんだろうけど、意識しちゃう。
蓮の大きい手は、熱々な私と違ってひんやりと冷たい。鼻につく爽やかで甘い蓮の匂いは、私の頭をクラクラさせる。
透き通った瞳は、私の瞳を見つめたまま一ミリも動かない。その瞳に、吸い込まれそうになるのを必死にこらえる。


どうしよう……。

何だか、胸が壊れそうなくらい苦しいよ。
でも不快には感じない。むしろ気持ちいい痛み。




これは、何だろう…。




「真央」


ドキン

不意打ちで呼び捨てにするのは、ズルいと思う。




「お仕置き、してあげます」




!?

その瞬間。
蓮の瞳が、ギラリと光ったように見えた。
まるで肉食獣みたいに…。







「れッ…///」


息なんかさせるか、とでも言いたげな口づけに、体の力が抜けた。

蓮は腰が抜けた私を、片腕でガッシリと支える。




細いくせに、力強い腕。



もう片方の手は、私の後頭部に。息をしたくて離れようとする私を、蓮の唇に押し付ける。





あぁ……クラクラする。




これはドキドキしてるせいじゃない。






酸素が足りないだけだ。


絶対……。






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