愛、シテあげる。*完*
全く。


金持ち……てか大富豪?の金銭感覚は理解に困る。




別荘近くに着陸したジェット機から降りて、只今城…じゃなかった、別荘の中を探索中。

ホントに、お城だよここは。
だってさ、まず中庭にはでっかーい噴水があんだよ?恐らく、25メートルプール以上の大きさ!
しかもライオン的動物の像が、口から水を噴き出す仕組みになってるし。


日本人なんだからっ!
ハチ公で十分でしょーが!





いや、ハチ公でも変だけど…。


しかも玄関?っていうのかな。玄関ホールか。そこには宝塚みたいな階段があって、階段を上った先にはダンスホールがあるし…。



誰が踊るんだよっ!!

こんな部屋いらんだろっ!



そして個人の部屋。そこにはお決まりの天蓋付きベッド。



…私、これ、ちょっと怖いんだけど。

だってさだってさ!
ホラー映画とかでよくあるじゃんっ!あのカーテンの隙間から誰かが覗いてたり、急にベッドが揺れ出したり……!


ひぃぃっ!怖っ!










「さっきから何してるんですか」
ベッドの近くで震える私を見て、溜め息をつく蓮。

「蓮。ここはおかしいよ!逃げよう!」

「?こういうところ、慣れてないんですか?」


慣れるもなにも、城なんて初めてだし!
てか慣れてんのは世界でほんの一握りの人だけだと思うけど!?

「あ……まさか」

「え?」

「そのベッド、怖いんですか?」


ギクッ;


「カーテンの隙間から誰かが覗いてるんじゃないか、とか」

ギックー;


「ベッドが揺れ出すんじゃないか、とか」


どぅはー!?;

「考えちゃったんですか?」


「あんたホント、エスパー!?」


淡々と言い当てた蓮が怖い!
< 68 / 212 >

この作品をシェア

pagetop