愛、シテあげる。*完*
「だからね、触んないでくんない?」


「でも、これは仕方がないので耐えてください」


仕方ない?どうなったら仕方なくなるの?


「薬を、より効きやすくするためですから」



あぁ、そういうこと?

へぇ……




じゃないわ!

「そんなん気にしないでいいから!さっさと離れ……ひゃ!?」


ペロッ



耳ッ、耳はやめぃッ!///

そんな願いが届くはずもなく……


すっかり、蓮のペースだ。



「ッ!」



耳を舐めてくる蓮に抵抗を示そうとしても、大したものにならない。



ていうか、

いい加減やめろぉぉ!///



水音が、物凄くよく聞こえてくる。


耳たぶを甘噛みしたり、


優しく頬を撫でたり……



しかも、目があったとき


いとおしそうに私を見るから




胸がドキドキして、ドキドキして……



苦しい。



「可愛い……」



そう呟くと

顔の至るところに唇で触れてくる。



くすぐったい



でもなんだか、愛のこもったキスに、心が温かくなる。






―――やめないで






あ……


今、何を思った?




「もう、大丈夫ですね」


「っ……!」


最後にチュッとキスをする。


「これで、充分効くでしょう」

「ぅ……」


うぅ……今、絶対顔真っ赤だ;

気まずくて、蓮から目をそらした。



「あ、そうだ。薬の効能、知りたいですか?」


グリンッ!


一瞬で、そらした目を元に戻す。


「それはですね……」



蓮の髪がサラリと頬にかかる。

目の前には、



感情の読めない、漆黒の瞳……


淡い色をした蓮の唇が、


ゆっくり




ゆっくり開いて




優しく、言葉を紡いだ。




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