愛、シテあげる。*完*
「舌が回らなくなってますね」

誰のせいじゃ馬鹿野郎。
ずけずけ言ってやりたいのに、唇は溶けてしまったんじゃないかというくらい熱くてたまらないし、力が抜けてしまっている。

込められる限りの悪意を込めて、覆い被さっている蓮を睨んだ。

「……困りましたね」


ん?
困りましたって、何が。


目の前の男は、今まで少し楽しむような顔をしていたのに。
急に真顔になるものだから、不覚にもときめいてしまった。

「その顔、他の男に見せないでくださいね」

「ぁ、え?」

「間違いなく襲われますから」

襲われ……!?


「例外なく僕も……













理性崩壊寸前です」


「は、?」


この人は、

このお方は、

何を言っちゃってんのかな?


「ぁ、にぉ」

何をと言ったつもりが、ワケわからん単語になる。


「ですから……困ります」


だから、何が!


またまた睨む。
さっきから聞いてればワケわかんないことばっかりでさぁ。
苛々します!私、苛々してます!


魔王はそんな私を見て、ため息を一つ。

「……真央さん。いい加減、この状況を理解してくださいよ」

言われなくても理解してるわっ!アホっ!

「そんな赤い顔して、舌ったらずで……襲われたいんですか?」

「ばっ!///」

んなわけあるかバカー!!!

私の虚しい叫びが届くはずもなく。


チュ、





いかがわしい行為に走られた。


抵抗しようと、入ってきた舌を自分のそれで押し返す。

が。


魔王、何かスイッチオン、
しちゃったっぽい。



だってね?

今、舌を押したら







    ・・
蓮の中の何かが









プツリ















って、音をたてたんだ。





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