愛、シテあげる。*完*
あぁもぉ……何なんだこの男は。




私をどろっどろに溶かして、ペロリと食べるつもりなんだろうか。




もう自分に唇があるのか無いのか、わからない。



いっぱいキスされたせいで、麻痺しちゃったみたい。




つか、



口ばっかしつこいんだコイツ!///




あ、誤解しないでね!?

口以外も…なんてことは無いからね!




断じて!!!






とにかく、その……


いい加減、止めてください。





気を緩めたら、意識飛んじゃいそうなんだから……。








くたり




まさにそんな音がするようなくらい、脱力。



白いシーツに沈んでいく体。







おかしい。


いつもの蓮じゃない。








普段なら、私がこんなくたくたになるまでキスしない。



苦しそうな顔をすれば、少なくとも一旦止めてくれたのに。







どうして。





これが蓮の、本気なのかな。



でも、それとはまた違う気がするんだけど…。





「…ッはあ、はあ、ッ!///」



ようやく離れたと思い酸素を補給していたら、首筋に噛みつかれる。


がぶっ



って音がしたようなしないような……。




「……ゃ」




怖い。





蓮は首筋に顔を埋める。


動脈に直接くる刺激に、そのまま本当に噛みつかれて食べられるんじゃないかと錯覚する。




蓮じゃないみたい。



本物の狼みたいだ。




……というより、


『蓮じゃない物』に触られてる感覚。







そう考えたら、余計背筋がゾワリとした。




いつの間にか蓮の片手が、ツーッと体の線をなぞり始める。



逃げようと身を捩っても、その手は止まらない。



「蓮ッ」





「……」




無言のままの蓮に、恐怖を覚える。





怖い。





何をするつもりなんだろう。





何で蓮は止めてくれないの?




まさかこの人は、蓮じゃないの?







違う、誰かなの?




体が恐怖に震えて、瞳が涙に濡れる。





怖いよ。





蓮じゃない蓮が、怖い。





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