恋におちた <短編集>
「琉菜、おばあちゃんとおじいちゃんのとこ行こうか。」
「うん?」
急に行きたくなって、あたしは琉菜を抱いて歩いた。
「……………愛。」
急に声をかけられたあたしは振り向こうとするけど、振り向けなかった。
「な……ん…でぇ?」
「……愛」
名前を何度も呼ばれても振り向いちゃいけない………
「探してた、ずっと。」
そう言ってくれた彼に、あたしは ずっと会いたかったよ って言いたい。
でも………でも………
「その子、俺たちの子?」
そう言う琉太の声わ少しだけトーンが低くて答えることができなかった。
「ガキなんか産むために、高校やめたわけ?」
「ちが……っ!
あたしの意思で産みたかったの……。」
琉太にとって"ガキなんか"かもしれないけど……
あたしにとっては最愛の貴方との子供。
産まないなんて………
「……俺、あれから教師になったよ。」
急に言われる琉太の今……
あたしは琉太の夢が叶ったっていう真実を心の中で喜んだ。
「………そっか。
叶えられたんだね。」
あたしの夢だった教師の琉太。
叶えてほしくて1人でがんばることを決めたの……
なんて言えばいいかわからない。
でも……………
.